皆様こんにちは。福岡市中央区の薬院河島脳神経外科クリニック院長の河島です。 本日はクリニックの新規個別指導についてお話ししたいと思います。
クリニックの新規個別指導
開院して1年ほどが過ぎ、色々なことが落ち着いてくる頃に突然「赤紙」がやってきます。厚生局からの新規個別指導のお呼び出しです。新たに開業した医療機関が適切な保険診療を行なっているかどうかチェックする場です。皆さんご存知のように医療費は大部分が税金によって賄われており、個人負担は0-3割です。ですから国の大事なお金を適切に使っているかどうか、お上から定期的に調べが入ります。もしも医療費の不適切な使用があった場合は保険医療機関の看板を召し上げられ保険診療ができなくなります。ですから医療機関側の人間としてはいささか緊張する場でもあります。当院でもカルテや検査結果を指定された10人分用意し審査に臨みました。細かい事柄を色々と質問されましたが、概ね回答できたのではと思っています。常日頃から検査の必要性などカルテ記載に注意を払ってきたおかげと思っています。
勤務医時代の医療監査
厚生局による保険診療のチェックと言えば勤務医時代に何度か経験しました。私は主に大学病院で勤務していましたが、大学病院と言えば高度な医療を担い不正など一切行われていないイメージがあります。ある意味正解ですが、実際のところは自分の正しいと思う医療を実践するために過剰な検査を行なったり、過酷な勤務状態でカルテの記載が不十分になったりすることがあります。そうすると厚生局が監査に入った時に医療行為が不適切と判断され、それまでに受け取った医療費の返還を要求されます。その額は、数千万円から数億円になることもあり病院側にとっては非常に困った状況になります。ですから厚生局の監査が入る前は病院上層部、事務方は慌ただしく臨戦体制に入ります。ただし、病院に勤めるスタッフにはどこか他人事感があります。監査後に医師の給料が減らされる訳でもなく、返還額が多くてもあまり深刻に捉えている人はいません。大病院では医師に適切な保険診療を行うように指導することはなかなか難しい状況と思います。
今後について
昨今の我が国では少子高齢化が進行し、医療費の増大や社会保障費の負担増などが問題になっています。限りある医療資源を適切に使用していくことが今後ますます重要になってきます。当院でも保険診療から逸脱しない中で患者様に満足いただく診療を心がけたいと思います。