脳梗塞の3型 | 福岡市の脳神経外科「薬院河島脳神経外科クリニック」

脳梗塞の3型

病気

皆様こんにちは。福岡市中央区の薬院河島脳神経外科クリニック院長の河島です。本日は脳卒中の中で最も発症の多い脳梗塞の種類
(3型)についてお話ししたいと思います。

脳梗塞とは

脳梗塞とは脳血管がつまることにより脳の組織が死んでしまう状態を指します。血管がつまる原因としては血管自体が動脈硬化によりつぶれてしまう場合と、閉塞箇所以外で血栓が形成され血流により運ばれてきてつまる場合があります。脳の大事な場所が死んでしまうと頭の働きが低下したり、体の動きが悪くなったりします。脳梗塞には程度の軽いものから非常に重いものまで3種類に分類されます。

脳梗塞の3型

1)ラクナ梗塞

最も軽い脳梗塞で、脳の細い血管(穿通枝)が脳深部で閉塞し小さな範囲(1.5cm以内)で脳細胞の壊死を生じます。無症状のことも多いですが、運動神経を損傷すると重い運動麻痺を生じることもあります。命に関わることは少なく、内服薬や点滴の治療で回復することが多いです。重症な場合は入院加療しますが、軽傷例は外来で治療可能です。

2)アテローム梗塞

アテロームとは粥状硬化のことで、動脈硬化により血管壁にプラークが沈着した状態です。動脈硬化が進行すると脳の太い血管でプラークによる閉塞が生じたり、血栓が出来て流れていった先の脳組織を障害します。比較的重い症状をきたすことがあり、発症直後に病院で治療を受けられたら、血栓を溶かす点滴を受けたり、血管内治療により血栓を回収することも行われます。落ち着いたらリハビリを行いますが、社会復帰が難しいこともあります。

3)心源性脳梗塞

不整脈(心房細動)に伴って心房内に血栓が形成され、それが血流により頚動脈や脳の太い血管を閉塞し脳組織に損傷を来します。この場合は脳の広い範囲に急速に脳梗塞を生じるため、命に関わったり重い後遺症を生じたりすることがあります。アテローム梗塞と同様に血栓溶解治療や血栓回収手術の対象となります。3型の中では最も重症の脳梗塞です。

それぞれの発症頻度は、ラクナ梗塞31%、アテローム血栓性脳梗塞33%、心原性脳塞栓症28%、その他の脳梗塞8%と報告されています。(2015年の脳卒中データバンクによる脳梗塞患者72777例の統計)

脳梗塞の治療

軽傷例は抗血小板薬(血液サラサラ)内服や点滴治療で回復します。重症例は早期に点滴や外科治療が必要になります。血栓を溶かす点滴(t-PA)治療は発症4.5時間以内に注射をする必要があります。血管内治療による血栓回収療法は脳梗塞の発症形態にもよりますが発症8時間以内を目処に行います。急性期を過ぎれば後遺症の程度に応じてリハビリ施設での機能回復訓練を要することが多いです。

脳梗塞の予防

脳血管の老化(動脈硬化)により血管閉塞が生じますので、老化防止が脳梗塞予防になります。血圧、コレステロール、糖尿病、喫煙などの動脈硬化因子に注意を払う必要があります。また、不整脈(心房細動)をお持ちの方は、その治療に専念することをお勧めします。予防薬としては抗血小板薬や抗凝固薬の内服があります。