アルツハイマー型認知症の新薬 | 福岡市の脳神経外科「薬院河島脳神経外科クリニック」

アルツハイマー型認知症の新薬

治療法

皆様こんにちは。福岡市中央区の薬院河島脳神経外科クリニック院長の河島です。本日はアルツハイマー型認知症の新薬についてお話ししたいと思います。

認知症は本当に多い

物忘れを主訴に来院される患者様は多くいらっしゃいます。当院では高齢者だけでなく、40代位の方も認知症が心配で来院されます。
認知症は個々の「人格」を蝕むガンの様なものです。物忘れの程度がひどいと不安に駆られて病院に行きたくなる気持ちは理解できます。

認知症の原因

認知症の代表的なものはアルツハイマー型認知症(AD)です。その他に脳卒中の後遺症として高次脳機能障害として認知症を生じることもあります。ADの発症メカニズムは正確に解明されていませんが、脳の神経細胞の周囲にアミロイドベータ(Aβ)と呼ばれる異常物質が沈着することが主な原因です。Aβが沈着しやすい人と、しにくい人の違いは不明ですが、生活習慣、遺伝、ホルモン環境など様々なものが影響していると考えられています。

アルツハイマー型認知症新薬

最近ADの新しい治療薬として開発された「レカネマブ」が話題になっています。ADの原因物質であるAβに直接働きかけて、脳への沈着を防ぐというものです。臨床試験では1年半の期間で、3割程度認知機能の低下を遅らせたそうです。

AD新薬の問題点

画期的な薬のように思われますが問題点があります。①AD発症早期の人にしか投与できない(効果が期待できない)、②AD早期の患者さんをどのように診断するか、③投与方法、回数、期間が不明、④高額な薬剤費をどうするか、⑤脳出血などの副作用が報告されている等です。
まだまだ分からない事が多い治療薬ですが、これまでにない新しいアプローチでADを治療するという点で注目に値すると思います。ADで悩んでいる患者さんやご家族は多いので、この薬がAD根治のためのブレークスルーになることを期待しています。